Chapter.1 少女の一番大事なこと
INTERKOSMOS デュランダルが訓練に利用している重力操作装置?天命の協力によって宇宙開発が行われた時代に作られた機械。この宇宙開発で月に行った宇宙飛行士は国籍が異なる。 現実の宇宙開発では1969年にアメリカがアポロ計画によって人類初の月面着陸を成し遂げている。この月面着陸計画での宇宙飛行士はすべてアメリカ人だった。国籍が異なるとわざわざ言及しているのは、現実の歴史との違いを述べるため?
2月29日、訓練を終えたデュランダルにリタはデザートとしてケーキを用意していると言う。デュランダルはあれから4年経ったのかと感慨深く感じた。
機密任務: "LONELY PANTHALASSA" 開始時間: 2012年2月29日 執行メンバー: ビアンカ・”デュランダル”・アタジナ(12)、リタ・ロスヴァイセ(16) 最終確認者: オットー・アポカリプス 機密書類に記された極秘任務。任務地は量子の海であるが一部が隠されていて分からない。 PANTHALASSAは超大陸パンゲアを取り囲んでいた広大な海のこと。
2012年2月29日、初めて量子の海に辿り着いたビアンカとリタ。二人は異世界でリヴァイアサンを倒すべく、協力者を募るも誰も名乗り出なかった。そこに現れたのは左手が不自由な老人ミゲル。ミゲルは3年ぶりに葦船を持ち出した。
リヴァイアサンは近海に巣を作っている怪物。そのせいで人々は絶海の孤島に閉じ込められてしまった。辺りに他の島はなく、陸地もみえない。
ミゲルは帝国時代のスペイン出身だった。ミゲルはリヴァイアサン討伐の計画を二人に話す。気骨のあるミゲルと意気投合するデュランダル。
ミゲル・デ・セルバンデス 近世スペインの作家。小説「ドン・キホーテ」の作者。スペイン海軍に入隊し、レパントの海戦でも従軍していた。
デュランダルが戦乙女になったのは10歳 姫子が戦乙女になったのは19歳で戦乙女になるには遅すぎると言われていた。
2nd聖遺物 正式名称は前文明紀元汎用補填作戦兵器「2nd聖遺物」ミゲル曰く大石を砕く火の銃。ミゲルが見た時にエネルギーを使ってしまったのか、Ch2でエネルギーが再充填されていないとビアンカは気づいた。
三人はミゲルの船で大海に漕ぎ出した。すると海面下で鳴る機械音。潜水艦がリヴァイアサンと戦っていた。
Chapter.2 量子の海
潜水艦はリヴァイアサンを倒すと海賊旗を上げた。潜水艦から出てきた小舟には海賊のリーダーが乗船していたが彼は海賊とは思えないほどビクビクした少年だった。
潜水艦は揚陸艦「カレドニア号」。少年は機関士のジミー。一緒についてきたのは甲板長のレイラ。三人の獲物をとってしまったおわびに船長がカレドニア号の招待したいと言っている。
カレドニア号に乗船する三人。カレドニア号は19世紀末から20世紀初期のものだった。船長は赤毛の女性マリアン・ウィリアム・シェイクスピア。16世紀イングランドからやってきた。甲板長のレイラ・サジダ・ヘラは同時代のモロッコから。機関士のジェームズ・”ジミー”・ワットは18世紀のスコットランドから。それからシェイクスピア副官の一等航海士鉄仮面。正体を晒したくないと本人の希望で詮索しないようシェイクスピアは紹介した。
ノーチラス号 カレドニア号の元の名前。ジミーがノーチラス号を修理し、カレドニア号と名付けた。 ノーチラス号とはSF小説「海底二万里」「神秘の島」に登場する架空の潜水艦。シェイクスピアの台詞に登場するネモ船長に設計された。
ビアンカ達も天命の戦乙女であると自己紹介する。カレドニア号の船員達はもともとは天命も崩壊の存在も知らなかった。鉄仮面から崩壊と天命が存在する異世界の話を聞いていたのだという。この世界ではエネルギーの充填速度が数百分の一まで落ちる。ビアンカの持つ2nd聖遺物のエネルギーが再充填されていないのはそれが原因だった。
崩壊エネルギーがなくとも戦えると血気盛んなビアンカにシェイクスピアは手合わせを提案する。シェイクスピアと鉄仮面は優れた格闘術の使い手だった。
一戦交えた後、4人は互いの目的を教え合ことになる。ビアンカとリタに課された任務は量子の海で「エーテルアンカーポイント」という特殊構造を探すことだった。
量子の海(任務についてのオットーの台詞を簡単に解釈) 四次元宇宙に属さず、ビアンカ達のいる世界(古典次元)とは平行に存在する「平行次元界」のこと。量子の海では物理法則が場所によって変化し安定しない。ここに存在する各宇宙は安定性がなく泡沫のように海を漂っている。これらの狭間にエーテルアンカーポイントによって安定した「安定ゾーン」が存在する。 安定ゾーンでは古典次元と同じ用に定まった物理法則が存在する。ここでビアンカ達の世界とよく似た「地球のクローン」を観測できるかもしれない。このような世界は元の世界から見て投影世界という。投影世界を安定化させているアンカーポイントを探すことが二人の任務である。 エーテルアンカーポイントとは「次元多様体」の間の位相変換。自然な構造物、あるいは人造の機械どちらの可能性もある。 ゲニウス 投影世界とこの世界を行き来するためのアイテム。前文明技術によるもの。 時空の窓 量子の海に通じているゲート?ゲニウスで量子の海に入るには、この現象が発生している時でないと不可能。理論上、帰還はこの現象を必要とせずいつでもできる。 非常にに珍しい現象で次の発生を逃すと数世紀後の可能性がある。(金星の太陽面通過より珍しいとのこと) 次の発生が2月29日であったためこの日にビアンカ達は出発した。 (詳細な発生状況は11時15分~12時15分の間、北東グリーンランド国立公園1054号峡湾付近、継続時間100秒)
Chapter.3 ローランドの剣
事実上、それは「一つの宇宙」の「礎石」ではなく、あらゆる可能性の世界の「媒質」のようなものである。
Ch3-1量子の海について(地の文)
「量子の海」を構成する「エーテル」は、その「ゆらぎ」の中で様々な「膜」が形成され、これらの「膜」は「世界の泡」に進化する可能性がある。
Ch3-1量子の海について(地の文)
投影世界 エーテルアンカーポイントとは「膜」を世界の泡に進化させる機会、あるいは特殊構造のこと。 2つの類似した膜は互いに影響を及ぼす。その例は物質の交流。小さい膜から大きい膜に物質は移動しやすく、反対は難しい。よって大きい膜はより大きく、小さい膜は退化していく。最終的に投影と呼ばれる膜が発生。 投影では膜の影響を受けたエリアだけが存在し、他の場所は消えてしまう。カレドニア号のいる世界は類似した膜が共有された投影世界。異なる世界のシェイクスピアとビアンカが出会ったのもそのためである。
リタの生年月日1995年3月1日(Ch3-2) ビアンカがリタ17歳の誕生日プレゼントを贈った。プレゼントはリヴァイアサンの角で作ったもの。
※量子の海については鉄仮面がビアンカ達に語ったもの。
この世界ではヨーロッパは封鎖され他の世界から流れ着いた難民が増えていた。ヨーロッパの統治者に何かしら原因がある。その証拠を見せるためにカレドニア号はジブラルタル海峡にやって来た。
深層海流 この世界に存在する超高速で流れる海流。カレドニア号はこの海流に乗って性能を遥かに超えるスピードで移動できる。ビアンカたちが出発したカナリア諸島とマデリア諸島の間から、ジブラルタル海峡まで、カレドニア号はわずか4時間で航行した。 投影世界は本物の世界を完全に再現しているわけではない。この世界にはこの世界で生まれた人類が存在せず、異世界人しかいない。また、深層海流のような他の世界と異なる自然現象も存在する。
アスガルドの壁 ヨーロッパ全土を囲むエネルギーウォール。100年前に発生した当初は、陥落した都市を囲む小さな壁だったが徐々に広がりヨーロッパ全土を覆った。シェイクスピアいわく、あと数年で地中海と大西洋が断絶される。 鉄仮面の観測では崩壊エネルギーによって構成されている。断面エネルギーは約1000HW/mで人が触れると即死する。崩壊エネルギーでできているにも関わらず崩壊獣は発生していない。 避難しなかった者は煙のように消えており、崩壊エネルギーとは別のエネルギーが作用していると思われる。
アスガルドの壁を見せたシェイクスピアは、壊れた宝剣ドゥリンダナをビアンカに渡す。ドゥリンダナはこの事態を解決するかもしれない武器だったが、シェイクスピアが無理やり使おうとしたろころ、剣の特殊な力が全て失われてしまったとのこと。鉄仮面によればビアンカかリタがこの武器の真の主であるらしい。ドゥリンダナを修理することが彼らの旅の目的であった。
ドゥリンダナ シェイクスピアがレイラと出会った時に偶然拾ったという剣。 真の力を発揮する時、主の素質を見極めるという。勇敢、自信、博愛、善良、活力、理性、高貴の7つが揃っていなければ、剣の力は消えて地の果てで7つの宝石となる。 シェイクスピアはアフリカ大陸の最西端サルム川で勇気の宝石を回収した。この宝石によって剣の柄に赤い装飾を復活させることができた。
カール大帝の騎士ローランド シェイクスピアが剣を握った時に見たという騎士。実在の騎士であり、叙事詩「ローランの歌」に登場する伝説的騎士でもある。 シェイクスピアの世界では男性であったが、ビアンカの世界では女性で崩壊と戦った英雄。伝説の最後で彼女の聖剣デュランダルは行方不明になっている。
シェイクスピアに言われるままビアンカが剣を握ると6つの光景が見え、剣の力が復活すればこの世で最も鋭い刃になるという根拠のない確信が湧き上がってきた。
ドゥリンダナの来歴について話すうち、ビアンカは自分たちの世界とシェイクスピアの世界の違いを知る。
Chapter.4 最初の授業
カレドニア号は新たな漂流者を救助した。漂流者はパイロットの男性。飛行機でアスガルドの壁を越えようとした時、「謎の力」によって予定航路からずれてしまい、海に墜落。壊れた飛行機で海を漂っていた。鉄仮面によれば壁の上に空間歪曲の断層が存在する。よって、飛行機であの壁を超えることはできない。
計画が失敗し意気消沈するパイロット。彼を励まし協力者とする役目を、ビアンカは引き受けることにした。パイロットはマンフレート・アルブレヒト・フォン・リヒトホーフェン。彼はドイツ帝国の軍人であり天命のない世界の人間だった。漂流している間に小隊のメンバーを失い、彼はすっかり生きる気力をなくしていた。
ビアンカの過去 とある大崩壊の生き残り。大崩壊では数億を超える死者を出したが、ビアンカはこの崩壊の記憶がなく、他の人にように崩壊に対する憎しみなどは抱けなかった。 孤児院でどこか空虚な日々を過ごすビアンカに希望を与えたのが、ボランティアとしてやってきたある戦乙女。彼女は突撃部隊の隊長であったが、ビアンカの予想を裏切って子どもたちに園芸を教えた。 この時、育てたのが百合の花。本編では姫子の葬式で供えられている。 2年後に百合の花が咲いたがその前年冬に彼女は死去。この時ただ一人生き残ったのが姫子。これを最後に突撃部隊も亡くなった。 孤児院を訪れた姫子の言葉に奮い立ち、ビアンカは戦乙女になることを決めた。姫子のいる聖フレイヤ学園に行くことも考えたが、ビアンカにすれば学園のカリキュラムはぬるいらしく学園に入学することはなかった。 Sonnet 18 - Wikipedia ビアンカが隊長と過ごした日々を表すものとして引用された詩。ウィリアム・シェイクスピアの作品。 移ろいゆく季節の中で永遠に残るものについて歌っている。
ビアンカは同じ地獄を生き抜いてきた軍人として、自分の過去を語った。