空月の祝福の女性(月の女神)に似ているアポニア。何か関連はありそうではあるものの、ケビンの追憶の皿では亡くなったように書かれており、アポニア本人である可能性は低そう。
客観的な事実「アポニアの死」
各人の記憶を客観的かつ公正に文章として書き出すのが、古の楽園のタイプライター。そしてそれが追憶の皿のテキスト。客観的な事実として「アポニアは死んだ」(ぽい)ことになっている。
休眠装置は徐々に沈み、暗闇と静寂が全てを包み込む。
孤独な光が一つだけある。男の最後の夢、夢の中にいる人すべてを連れて、どんどん遠くなっていく。メイ。
ディストピア。
メビウス。
コズマ。
アポニア。
痕。
それから……エリシア。光が消えた。
追憶の皿 ケビン「願望」
全ての名前と、あの日の願いと共に。
月での終焉の律者戦で倒れた女性
これにはケビンと華のほか、エデンも参加したことが現時点で明らかになっている。
漫画では最初に長身長髪の女性が倒れたシーンが描かれた。エデンは無事に帰って来ているため、この女性がアポニアの可能性もある。
※漫画の設定は本編と相違することがしばしばある。

アポニアの決意「世界そのものになるしかない」
最後の追憶の皿
前文明で終わりを迎えたように思われるアポニア。しかし、前文明と運命をともにしたエデンとは異なり、追憶の皿は「先」を感じる終わり方をしている。
人類滅亡が差し迫る中、ヴィルヴィは第五の神の鍵を休眠装置へと改造した。その未来への希望である休眠装置の前で、エリシアの死後にアポニアはヴィルヴィへあるお願いをした。
「かつてあなたに話した仮説は……私の最後のお願い。あなたの作品であれば、きっと『退路』を残してくれると知っている。」
「……」
追憶の皿>アポニア「開物」
「アポニア、それは自殺と何の違いもないよ。」
「私は答えを手に入れなければならない。それと比べれば……命は大したものではないよ。」
「世界が私のほしいものをくれないというのなら、私は……」
「『世界』そのものになるしかない。」
ヴィルヴィに話したという「仮説」、これはどの追憶の皿にも書かれておらず、まだ明らかになっていない。ヴィルヴィの機械を使い、「命の危険がある何か」をアポニアがしようとしていたようだ。目的はとある「答え」を知ること。
アポニアの望む答え
アポニアが欲する答えとはおそらく「運命の糸」の正体。生前のエリシアは「また今度会った時に糸の正体を教えられるかもしれない」とアポニアに言い残した。しかしその後、エリシアが第十三律者となり死んだ。詳細は分からないがエリシアの死後、アポニアは「運命の糸」が見えないようになった。
「でも、君とこういう話をするなんて不思議だなぁ。君は大丈夫?運命が二度と見えないって……どんな感覚?」
「……」
「困惑しているよ。」
「エリシアがどうやってそれを成し遂げたのかは、今でも分からないけど、彼女はちゃんとやってみせた。」「……ふうん、まあ、それはどうだっていいんじゃない。とにかく悪いことではないし、そうでしょ?」
「でもね、ヴィルヴィ。エリシアが運命の存在を断ち切ったのか、それとも私を『見えないように』にしたのか、誰も断言できない。」
追憶の皿>アポニア「開物」
ただ、見えないようになっただけのか、運命そのものがなくなったのかはアポニアにも分からない。おそらくエリシアから「糸の正体」を教えられないまま、最期の別れとなったのだろう。
「世界そのものになるしかない」と「開物」
最後の追憶の皿のタイトル「開物」の由来は、古代中国の書物「易経」の開物成務から。開物成務とは万物を開発し事業を成し遂げるという意味。人や動物、自然など「物」を「開」き「務」めを「成」すということ。
他に明代の「天工開物 」という産業技術書もある。天工とは天のみわざや大自然の働きといった意味。ここでの開物は天工に対する言葉、「人がなす業」の意。つまり「人工」のこと。
「開物」とは人間の産業や技術開発に関わる言葉、そしてヴィルヴィの機械工学を強く意識したタイトルである。

以上を踏まえた上でアポニアのセリフ「世界そのものになるしかない」とは
「世界」すなわち天(人の力が及ばない領域)が答えを教えてくれないなら、人工の力(ヴィルヴィの機械)を使い、自分が世界となって答えを手に入れる。
といった感じの意味なのでは。
古の楽園は終わった物語ではあるが、アポニアの物語はまだ続いている……ような気もする。彼女がまだ生きている可能性を探ってみよう。
死んでも復活する灰蛇と識の律者
ところで追憶の皿のテキストには死後に復活したことがある人物が2人いる。
1. 千劫の副官 エイマー
一人目は千劫の副官であるエイマー。第十次崩壊で支配の律者の疑似律者として覚醒。死の律者の力を持っていために火を追う蛾は彼を殺すことができなかった。現文明の第二次崩壊ではシーリンがこの死の律者のコアを手に入れ、驚異的な再生能力を身に着けた。
2. 機械生命体 灰蛇

何度殺されても生き返る灰蛇。その正体はメビウスが作り出した機械生命体。
彼の不死身の能力は第八律者である識の律者の研究から生まれた。仕組みは本編でオットーがやっているように、肉体が死を迎えた時、意識を新たな肉体に移すというもの。フカも本編でオットーに撃たれて死んだものの、渡世の羽に意識を移すことで生き延びている。
つまり死の律者の他に識の律者の能力でも、不死身の状態になることが可能。
第八律者「識の律者」
第八律者はそれまでの直接的な破壊ではなく昏睡病という形で人類を追い込んだ。そのため、第八次崩壊で主力となったのは、スゥをはじめとした精神感知型の融合戦士たち。しかい、第八次でのアポニアは至深の処にいて戦いには参加していない。1漫画「伝承」よりスゥが第八律者を捕獲した
アポニアは第八次崩壊が収束した後から識の律者に関わっていく。
識の律者とアポニアの関わり
第八の神の鍵「渡世の羽」の調整と第一定格出力の誕生
華(フカ)は渡世の羽の唯一の所有者と言われる。その理由はアポニアによる調整だった。アポニアは渡世の羽の真の力(第一定格出力)を呼び覚まし、華専用の武器とした。アポニアは神の鍵の第一定格出力の開発者であり名付け親でもあった。

アポニアが引き起こした事件と「第八律者の人格をコピーしたこと」
アポニアは人類滅亡の運命を変えるため、410件にものぼる事件を引き起こし、火を追う蛾のメンバーに糾弾された。
その数多くの罪状の一つが「第八律者の人格をコピーしたこと」。
「君は第八律者の人格をコピーしたことを認めるか?」
どうすればいいか分からなかったか――彼女はそう考える。
追憶の皿>アポニア「目覚め」
しかし彼女は、「認める」と言った。

アポニアは識の律者の力を手に入れた?
この2点の出来事からすると、アポニアは識の律者についてかなり詳しい知識と理解があったのではないだろうか。天才科学者のメビウスが不死身の灰蛇を作り出したように、最強の精神感知型であるアポニアが意識転移の能力を手に入れていても不思議ではない。
もしも、アポニアが識の律者の能力、または同等の力を手に入れていたとしたら?
ヴィルヴィにしたお願いとは、自分が死んだ時に転移先となる機械(人工物)を用意すること……かもしれない。そして転移先は灰蛇とは異なり「危険が伴うもの」で、ヴィルヴィからすると「自殺」に等しい。
「アポニア、それは自殺と何の違いもないよ。」
追憶の皿>アポニア「開物」
世界になれそうなヴィルヴィの人工物「神の鍵」
神の鍵の危険性
アポニアが最後のお願いをしたヴィルヴィ。五英傑に選ばれてはいるものの、神の鍵の開発で問題を起こしたことがある。それは神の鍵の中でも特異な存在である虚空万象の時。第一律者のコアを自身の体内に入れて神の鍵を作ろうとしたのである。
ヴィルヴィは途中で行為の危うさに気が付き、メイ博士に助けを求める。この一件により開発が制限されるようになってしまった。そのため虚空万象は第一律者のコア製でありながら、完成が遅れた神の鍵となった。
虚空万象は後崩壊書でも描かれたように、人格・意識を持つ特別な神の鍵。ヴィルヴィはコアを体内に入れ、身を持って虚空万象の危険性を知った。(具体的に何が起こるのかは不明)

もしもアポニアの提案した意識転移先が神の鍵なら、ヴィルヴィがその考えに警告をするのも当然のことと言える。
神の鍵が意識に関する危険を持つことは分かった。次からはアポニアが「世界そのもの」になれる力を秘めているかについても検証していく。
エーテルアンカーとなりうる「神の鍵」
話は変わるが、世界の泡にはその存在を維持する核のようなものが必要となる。虚数空間は物理法則が乱れる不安定な空間のため、周囲を安定させなければならない。「虚数空間に実数空間のような安定した空間を作り、世界の泡を成立させる構造物」をオットーはエーテルアンカーと呼んだ。2ビジュアルノベル「デュランダル」
エーテルアンカーは意思ある存在によって作られた人工物。前文明や異星人シュガーズなどがエーテルアンカーを作製した。シュガーズのアンカーは「砂糖の鍵」という剣。

砂糖の鍵は別名「外の鍵」とも呼ばれる神の鍵で、お菓子の家の製造にも使われた。お菓子の家のアンカーはこの砂糖の鍵である。つまり神の鍵はエーテルアンカーの機能も備えていることがある、ということ。砂糖の鍵について詳しくは以下の記事を参照。
エーテルアンカーの「世界の法則を支配する力」
ビジュアルノベル「デュランダル」によると、世界の核であるエーテルアンカーは、世界の法則を支配する力もあるという。ビジュアルノベルの最後、エーテルアンカーと「同期」したラニーニャは万能の力を手に入れたとして「神」を自称した。

「アンカー」は世界をコントロールしている。誰かがそれと同期できれば、その人は世界の法則を外れ、さらに世界のあらゆる法則を利用できる。
言い換えれば、我々、神の子「ラニーニャ」は……
君たちが望んでやまないこの世界の……神になったのだ。
ビジュアルノベル「デュランダル」Ch30
といっても、人間が使う場合には真の力を発揮できない。人間の場合は1000分の1未満だった。
そ、そんなあり得ない!有史以来、人間が操作できた「アンカー」の情報量は千分の一にも満たなかったのよ。
ビジュアルノベル「デュランダル」Ch30
世界の法則を支配できる存在は、常人からすれば神や世界そのものに等しい。世界を維持する核であるエーテルアンカーに意識転移し、真の力を引き出せたのなら「世界そのものになる」と言っても過言ではない。
第十三律者、エリシアの神の鍵を使いこなせる者
終焉の律者と合わせて第十三律者の神の鍵は未登場。ヴィルヴィがエーテルアンカーの機能を持つ神の鍵にした可能性もある。
神の鍵には明確に相性が存在する。第九の神の鍵「エデンの星」、元は「星海の諧調」といい現在の名が示す通りエデンの武器。エデンが使うと想定以上の出力を記録した。
エリシアとエデン、そしてアポニアはバラバラな十三英傑では珍しく仲がいい。エリシアが配布した妖精エリを受け取ったのは、エデンとアポニアのみ。

「可愛い女の子に使われるのなら本望よ♪」
エリシアならこんな感じで機嫌よく使われそう。
何はともあれ、エリシアの機嫌とアポニアの才能が合わされば、第十三の神の鍵の力を最大限引き出し、世界の法則を自由自在に操れる可能性はありそう。
まとめ
ここまでの考察からアポニアの行動をまとめる。
アポニアの行動
- アポニアは識の律者の力を調べて同等の力を手に入れた
- アポニアは識の律者の力を使った神の鍵への意識転移についてヴィルヴィに相談
- ヴィルヴィがエリシアのコアでエーテルアンカーの機能を持つ第十三の神の鍵を作製
- 月での終焉の律者戦
- アポニアは倒れ、ケビンは彼女の死をその目で見た
- アポニアは第十三の神の鍵へ意識転移をして生きていた
- アポニアの入った神の鍵で世界の泡が作られた
- アポニアは「世界そのもの」、神のような存在となった
世界の法則をも掌握したアポニアが次にすることは「糸の正体」を探ること。
神に等しい存在になった以上、アポニアは世界の出来事も把握できるだろう。世界の運命を観測し続ければ、エリシアが教えないままだった糸の謎に近づけるかもしれない。つづく。
おまけ:アポニア専用聖痕

アポニア専用聖痕であるゼノンの3セット効果は「たどり着けない終点」。崩壊3rdにおいて終点とは物事の終わりだけでなく、「人生の終わり」も意味する。意識転移によって終点がなくなってしまった、アポニアの運命を暗示している?