ソロモン72柱とは

作者不詳の魔導書「レメゲトン」の第一書「ゴエティア」に登場する悪魔のこと。

紀元前10世紀頃のイスラエルの王ソロモンが封印し従えた悪魔とされる。「ゴエティア」は悪魔の容姿・能力、召喚や命令の際に必要な印章などを収録しており、悪魔辞典のような扱いをされることが多い。似たような書物としてには、ヨハン・ヴァイヤーの「悪魔の偽王国」、それを参考にしたコラン・ド・プランシーの「地獄の辞典」が挙げられる。これらの書物はソロモン72柱とも共通点があり、悪魔を解説する際にそれらの記述も参照されることが多々ある。

72柱という数字は、黄道十二宮に昼夜三体ずつ悪魔を割り振った結果。

72柱=12宮x3体x昼夜

ソロモン72柱の星座を一覧で見れるページ

表記などについて

名前

いくつかある別名も含めて原神の和訳に一番近いものを採用。

序列

ソロモン72柱には序列が設定されているが、強い順・偉い順などではない。ソロモン王によって召喚された順。

姿、能力など

基本的にゴエティアから。ゴエティア以外からの参照は別途記載。



序列第1位 バアル(Baal)

バアル(Baal)雷電影
地位地獄の東方に君臨する王
魔神軍団66個師団を統率
姿ヒキガエルや、人間の男性など様々な姿
能力透明化(悪魔の偽王国)

元々は悪魔ではなく、ユダヤ人の一部に信仰されていた神だった。ユダヤ教では唯一神以外の信仰と偶像崇拝を禁じているが、旧約聖書にはバアルの神像を崇めていたという記録が残っている。嵐、雷、雨など天候を操る力を持ち、雨を降らせることから農耕の神として信仰されていた。

ウガリット神話(現在のシリア)では最高神エルの息子。時の魔神イスタロトの元ネタであるアスタロトとその姉妹アナトを妻に持つ。この姉妹も雷電将軍の設定に影響を与えているように思われる。

バアルゼブル(Beelzebul)

バアルゼブル(Beelzebul)

影の魔神名であるバアルゼブルとは、一般的にはベルゼブブと表記される蝿の王の悪魔でありソロモン72柱には含まれていない

バアルゼブルという名前はバアルから派生してできた名前である。

そもそもバアルはセム語(古代中東で話されていた言葉)で主人、所有者という意味の言葉で、転じて「その土地の神」という意味を持つ。そのため中東地域では「バアル」を冠した神は多数存在していた。

その内のひとつが「バアル・ゼブル」(崇高なる主人)で、この神はペリシテ人の都市エクロンで信仰されていた神である。ペリシテ人とはかつて地中海東部を襲っていた海賊的な集団「海の民」を構成する民族のひとつ。稲妻では海乱鬼(倭寇の別名)という敵キャラも存在していることを考えると、「バアル・ゼブル」は最適かもしれない。(有名所を選択しただけかもしれないが)

信仰を集めていたバアルという神々は、中東で少数派だったユダヤ人に敵視され、邪悪な神として批判される文書が数多く存在した。「バアル・ゼブル」は旧約聖書において今日では有名な蝿の王と皮肉られている。

序列第8位 バルバトス(Barbatos)

バルバトス(Barbatos)
地位30の魔神軍団を従える公爵
姿森の弓使い(悪魔の偽王国)
能力動物たちの声を理解する力を与える
魔術師によって隠された宝箱を暴く
過去と未来をよく知っている
争う者達を和解させる
その他4人の高貴な王と彼らが従える大軍勢を伴って現れる

地獄の辞典

中世イングランドのロビン・フッドの伝説から生まれた悪魔ではないかと書かれている。また、理解した動物の声から占いをすることもできるとしている。

序列第9位 パイモン(Paimon)

パイモン(Paimon)
地位200の魔神軍団を配下に持つ王
姿王冠をかぶった人間の男性の姿をしており、ヒトコブラクダに乗って現れる
能力あらゆる技芸、化学、秘密の物事を教える
召喚者が知りたいと思ったことを何でも解明する
威厳と人望を授ける
他人を召喚者に服従させる
あるゆる技芸を教えることができる使い魔を授ける
その他悪魔の首領であるルシファーに対して他の王よりも忠実。

72柱の中で最多の200軍団を配下とする強大な王。大声でしゃべるため誰も話を理解できない。召喚者は彼を説得して意思疎通をはかる必要がある。

序列第21位 モラクス(Morax)

モラクス(Morax)
地位30の魔神軍団を統率する地獄の伯爵にして総裁
姿人間の顔を持つ雄牛
能力 薬草や貴石の効能を知っている
人間を天文学と基礎教養学門(文法、算術、音楽など)に熟達させる

フレッド・ゲティングス「悪魔の辞典」

モラクスの起源は古代中東の神モレクではないかとされている。モレクはソロモン王が信仰したという異教の神。牛の頭に人間の体というモラクスとは上下が逆の姿をしている。

序列第24位 ナベルス(Naberus)

ある日、その師匠と弟子が世界の奥底で「ナベリスの心」※と呼ばれる聖遺物を見つけた。

アルベドキャラクターストーリー4

※英訳Naberius

アルベドのキャラクターストーリー以外での言及がない謎の神。魔神とは明言されていないが、72柱に一致する名前があるため記載。

別名ネビロス(地獄の辞典)
地位19の魔神軍団を従える侯爵
姿黒い鶴の姿、しわがれた声
能力人間を修辞学に熟達させる

悪魔の偽王国

鶴ではなくカラスの頭を持つ。別名をケルベルス。これがギリシャ神話に登場する地獄の番犬「ケルベロス」のラテン語読みであるため、ケルベロスを元にしたという説がある。

序列第35位 マルコシアス(Marchosias)

マルコシアス(Marchosius)
別名マルコキアス(悪魔の偽王国)
地位30の精霊の軍団を統括する侯爵
姿グリフォンの翼と蛇の尾を持ち口から火を吹く狼、強力な戦士
能力不明

ゴエティアでは召喚の目的についての記述がなく、どのような能力を持っているのかは分からない。強力な戦士であり「支配の秩序」※の一員ではあるという。

※機械翻訳ママ。原文では「the Order of Dominations」調べてみたが具体的に何を指すのか、そのような集団があるのか分からなかった。

ソロモン王に対し、「1200年後に第7の玉座に戻りたい」と語った。

序列第55位 オロバス(Orobas)

オロバシノミコト(Orobashi)
地位大公
姿馬の姿で現れるが命じられると人間の男性の姿をとる
能力過去と未来のあらゆることを明らかにする
神学と世界創造について真実を教える
威厳と地位を与えることで周りから好意を持たれれるようにする
その他召喚者に対して非常に忠実で、他の悪魔に惑わされないよう守ってくれる。

序列第57位 オセ(Ose)

渦の魔神オセル(Osial)画像引用元
地位30の魔神軍団を従える総裁
姿豹に似た姿をとるが、少し経つと人間の男性の姿をとる
能力人間を基礎教養学門(文法、算術、音楽など)に熟達させる
神学、神秘的な物事に関する真実を教える
人間の姿かたちを変え、変化させられた者は最初からその物体・生物だったと思いこむ

人間を改造できる能力を持っている魔神が改造されかけていたとは…。

序列第63位 アンドラス(Andras)

北風の狼アンドリウス(Andrius)
地位30の魔神軍団を従える侯爵
姿夜鷹の頭を持つ天使で、黒い狼に乗り、光り輝く剣を持って現れる
能力
その他人間同士を仲違いさせることが職務
油断した召喚者とその仲間を殺す

序列第64位 ハウレス(Haures, Havres)

塩の魔神ヘウリア(Havria)
別名一般的にはフラウロス(Flauros)
マグレガー・メイザース翻訳版でハウレスとされている
地位36の魔神軍団を従える公爵
姿豹の姿で現れるが、命令によって火炎ような目をした人間の姿に変わる
能力過去と未来のあらゆることを教えてくれるが、悪魔を制御する三角形の陣の中でないと真実を教えず嘘をつく
召喚者の敵を焼き殺す
他の魔神の誘惑から守ってくれる

序列第68位 ベリアル(Berial)

渦の魔神オセルの英訳が「Osial」であることから、オセ+ベリアルである説があった。

オセルは5本首の龍で、妻の跋掣の首は3本。合計8本。この首の数からすると、この夫婦はおそらく璃月をかつて脅かしていた八虬。オセルが2つの悪魔を合成した名前なのもそのためかもしれない。

地位80の魔神軍団を従える王
姿戦車に乗った二人の美しい天使
能力聖職禄※つきの役職、議員職の斡旋
友人と敵からの好意を得る
その他生贄、贈り物を捧げなければ真実を答えてくれない

※聖職禄:教会の領土や信者のお供え物の一部を貰える権利

元は聖書にも登場する堕天使。新約旧約聖書で、キリストと対極に位置する存在、淫らで美しい天使、姦淫の象徴、ユダ王国滅亡の原因…など悪魔の中でもとりわけ邪悪な存在とされた。

序列第69位 デカラビア(Decarabia)

高塔の王デカラビアン(Decarabian)
地位30の魔神軍団を従える侯爵
姿五芒星の中に星がある(星型が二重になっている)姿で現れるが、命令によって人間の男性になる
能力鳥類と貴石の効能を解き明かす
鳥に似た姿のものを集め鳥のように歌わせる
デカラビアの印章 Wikipedia Commons

モンドの魔神で3つの月が並ぶ印章のデカラビアから名前をとっているのは偶然か否か…。

不明な魔神

塵の魔神 帰終(Guizhong)→グシオン?、草神クラクサナリデビ(Lesser Lord Kusanali)

気になった所

調べた結果、ナベリスが気になりもう一個書いた。→ナベリスは8人目の神?

参考文献