パネースの描写についてブラフマーを彷彿とさせるものがあったため、二者の共通点を見ていく。
パネースとは
書籍「白夜国館蔵」に登場する創造神。卵から生まれ、世界を創造した。
【パネース、或いは原初のあの方】
原初のあの方、或いはパネース。翼を生やし、王冠を被り、卵から生まれ、雄と雌の判別がしがたい。だが、世界を創造するのならば、卵の殻を破らなければならない。パネース——原初のあの方——は卵の殻を使って、「宇宙」と「世界の縮図」を隔離した。
白夜国館蔵2巻(日月前事)
神話上のパネース
オルペウス教1オルペウス教は古代ギリシャの密議宗教。教義として輪廻転生を掲げていたのが特徴。現世利益中心であった古代ギリシャではこのような仏教的な考えは珍しい。の創世神話に登場する創造神。
時間の神クロノスによって創られた卵から生まれた。また両性具有の神。白夜国館蔵では雌雄が分からないとされている。
シンボルは蛇。プロートゴノス(最初に生まれた者)とも呼ばれる。
K.Kとは

主人公の公式キャラ画像で意味深な台詞を吐いている謎の人物。イニシャルK.Kの人物と言えばKevin Kaslanaということでケビンだと考える人が多い。
K.K=融合戦士のひとり
火を追う蛾の融合戦士にK.Kという人物がいると噂されている。出どころは崩壊3rd5周年記念の生放送。制作スタッフがノートに書き留めているシーン。

K.K 梵
千刧 阿修羅
梵=ブラフマー。ヒンドゥー教最高神の一柱で創造主。日本では仏教に取り入れられた後の「梵天」の名で知られている。
千刧の超変因子はゲーム中では「非天」となっているがこれは「阿修羅」のこと。
ヒンドゥー教では1刧はブラフマーの1日に相当すると言われる。千刧となんらかの関係があって、並べて書かれていたのかもしれない。
神話上のブラフマーについて
ブラフマーによる世界の創造
原初の水に種が撒かれ、それが黄金の卵となり、卵からブラフマーが生まれた。ブラフマーは割れた卵の殻の上半分で天界を、下半分で地界を、中間部分を空界として三界を作った。
ブラフマーの1日(1刧)が始まる時に世界が創造され、終わりに世界が消滅し、それが繰り返される。
妻サラスバティーとの結婚と4つの顔
ブラフマーは自身の身体から美しい女神サラスバティーを創り出した。ブラフマーは彼女に見惚れ、逃げる彼女を見続けようとして四方に4つの顔を生やした。
最終的にサラスバティーはブラフマーと結婚し、人類の祖「マヌ」が彼らから生まれることになる。
パネースとブラフマーの比較
「白夜国館蔵におけるパネース」と「インド神話におけるブラフマー」の描写を比較してみる。
パネース | ブラフマー |
卵から生まれた | 種からできた黄金の卵から生まれた |
卵の殻で「宇宙」と「世界の縮図」を隔離した | 卵の殻で天地を創った |
光る影を4つ作った | 4つの顔を持つ |
宇宙卵
「卵から生まれた世界」というのは創造神話における類型のひとつで世界各地に存在する。これを宇宙卵、世界卵や卵生宇宙などと言う。
例えばフィンランドの叙事詩「カレワラ」では、大気神の娘ルオンノタルの膝に産み落とされた鷲の卵から世界が創られたとされる。
種とヒルチャールの神Unu
ブラフマーの卵は原初の水に撒かれた種が元となって発生した。
「原初の神」と「種」に関連がありそうなのが、ヒルチャールが信仰する神Unu。
『Kucha gusha/Unu gusha』
1.種。
ヒント: この単語を並べるとは自分でも思わなかった。ヒルチャールは専門的に種を植えることはないが、種を蓄える習慣があり、気分が良い時に適当に埋める場所を探す。Kuchaはヒルチャール語で軽蔑の意味を持った「小」で、Unuが数字の一。ヒルチャールの神と原初の物の概念となる神聖な単語。この二つの単語で種を表すとは、実に興味深い。
ヒルチャール語ハンドブック
Unuは原初、一といった意味を持つ。また、植物という意味のgushaと組み合わせて「種」を表す。原初の神で、種を表す時にも使われる神Unu。そして種から発生した卵から生まれたブラフマー。Unu、ブラフマー(K.K)、パネース。もしかしたら、彼らは同一存在かもしれない。
卵の殻=天球(偽りの空)
『卵の殻で「宇宙」と「世界の縮図」を隔離した』という記述に関しては以下の記事で掘り下げた。
パネースが崩壊3rdのK.Kであるなら、卵の殻が世界の泡である可能性も高くなるだろう。
「オルペウス教神話のパネース」に4つの顔・化身はあるか
原初のあの方は、自ら光る影を作った。その影の数は四つであった。
白夜国館蔵2巻(日月前事)
パネースの英語Wikipediaを読む限りでは、「4つの顔もしくは化身」のようなエピソードは見当たらなかった。
※オルペウス教の神話はギリシャ神話でもマイナーな部類に入るため資料が少ない…。Wikipediaでも要出典が目立つ。
パネースの「4つの光る影」はどこから来たのか?
パネース=ブラフマーであるなら、「光る影を4つ作った」という記述に関してはブラフマーの「4つの顔」から着想を得た可能性もある。
パネース=K.K=千劫?
K.KはKevin Kaslanaではないかとされる説が一般的だが、ケビンに似ていると言われる千劫の英訳はKalpas(劫の複数形)である。そのため、K.K=Kalpas Kaslanaという解釈も成り立つ。

方舟には空白の鍵が使われている。空白の鍵は第十次崩壊の時に初の実戦投入が行われた代物でそれ以降は研究が停止された。約束の惨劇(第十一次)の前にすぐ再開して方舟完成・出発とは考えづらい。融合戦士が13人となった後に完成・出発したと思われる。
これに加えてエリシアは十三英傑に隠された14人目はいないと繰り返し言及した。これが本当だとすると、方舟計画の関係者かもしれないK.Kは、十三英傑誰かの変名である可能性が高い。
前文明での千劫の結末
千劫は融合手術の結果、認知の異化という副作用を抱えている。認知の異化によって千劫はいつか獣のように理性を失い化け物となる。正常な判断能力を残したまま、テイワットに辿り着くのは難しい。
千劫はテイワットでパネースとして生まれた?
グレーシュが描いた絵の中には千劫の出自を暗示するものがある。

この司祭が抱えている「卵の殻」のようなものは司祭にとっての宝物。「司祭は宝物を抱えて高く飛べるはずだった」らしい。サクラが千刧の故郷で発見したのは祭祀場のような場所2追憶の皿サクラ「起源」。この卵から千刧が生まれた?
パネースもブラフマーも、卵から生まれた神とされている。新しく生まれ直すことで、千劫は副作用をリセットできた……のかも。
末法型崩壊獣ブラフマー
3体いる末法型崩壊はエリシアの大自在天(シヴァ)、コズマのヴィシュヌ。最後の一体はK.Kの因子ブラフマーだと推測できる。なぜならシヴァ、ヴィシュヌ、ブラフマーの三柱は、ヒンドゥー教で三神一体の存在とする理論があるため。
末法型崩壊獣は既存の崩壊獣の枠に当てはめられないイレギュラーな存在。コズマのヴィシュヌも最初は末法型とはみなされず、後から末法型に変更された。千刧の因子とされる非天も「帝王級に見合わない破壊力」「人間の悲鳴を上げていた」など特殊な点があった。
「あら、すごい、見たことのない崩壊獣ね。あれほどの破壊を引き起こしたのに、ただの帝王級なの?名前は?」
「……非天。」
「あなたがつけたの?驚いた。あなたのことだから、『キバ破壊獣』とかにするかなって思ってたわ。」
「……やつが教えてくれたんだ。」
「教えてくれた?崩壊獣と会話できるなんて知らなかった……どうしてあたしに教えてくれなかったの?何、秘密主義者?」
「……」
追憶の皿エリシア「非天」
「そういう力はない。サクラがやつを見つけた時、やつは『人間』の悲鳴をあげていた。」
同じ追憶の皿の後半では軽口ではあるものの、エリシアが「大自在天と非天のどちらが強いか」と質問した。
「融合戦士の中で末法型崩壊獣の遺伝子を使ったのはあたしだけだもの……「大自在天」と「非天」、どちらが強いか、漫画みたいな。対決だと思わない?」
「あら、あたし、また余計なことを言っちゃった?メビウスのところに行ってみるといいわ。万が一あたしよりも強い戦士になったら、あたしのことをいじめないでね。」「エリシア……言ったはずだ。万物が滅びた時、お前も俺に殺される。」
追憶の皿エリシア「非天」
千刧の返答は「自分は末法型と同等の力を秘めている」といった主張にとれなくもない。とはいえ非天が梵天(ブラフマー)に進化したことを示すエピソードはまだない。ヴィシュヌについても末法型に変更される前後で名前が変わったという記述もなかった。今後のストーリーで超変因子に関する描写を見ていく必要がある。
まとめ
- パネース、ブラフマーは卵から生まれた創造神
- 両者とも卵の殻で天地を分けたり作ったりした
- パネースは4つの光る影を持ち、ブラフマーは4つの顔を持つ
- パネース、ブラフマー、Unuは同じ存在
- 千劫はテイワットで再誕しパネースとなった?