ローレンス家だけ英語・フランス語が由来。

グンヒルド(Gunnhildr

ジンの姓名。2600年前の女祭祀グンヒルド(姓名ではなく名前)が由来。

グンヒルドは古ノルド語gunnr (戦い、戦争)+hildr (戦い) の二語でできている。

古ノルド語由来の名前DBやWikipediaによるとグンヒルドという名前が実際に存在している模様。

Viking Answer Lady Webpage – Old Norse Women’s Names

Gunhild – Wikipedia

またグンルヒルドは北欧神話の戦乙女の名前でもある。有名なブリュンヒルドのヒルドも同じ戦いという意味。

ほぼ同じ戦いという言葉を重ねていることから苛烈さの漂う名前だが、戦争のための戦い=政治などど解釈すると古代モンドで祭祀であったグンヒルドに似合う名前だと思える…?

ラグウィンド(Ragnvindr

ディルックの姓名。1000年前の旧貴族時代に活躍した暁の騎士ラグウィンドから。

グンヒルドと同じく古ノルド語の regin (神、支配する力) + vindr (風) の二語でできている。

Googleでラグウィンドから原神やディルックをマイナス検索すると、ヒット数が激減する。Ragn~で始まる男性名はあるのでそれっぽくmiHoYoが考えた造語かもしれない。

ラグウィンドという言葉において、ベースになっているのはウィンド(vindr)の方なので、「神の風」や「支配力の風」という意味になる。

「支配力の風」という意味だとするとある意味グンヒルドよりも不穏な名前だと言える。祖先の赤髪の騎士はモンドの自由を害する可能性を懸念して新モンドに残らなかったのか。あるいは物語を引っ張る推進力とかそういう意味もありうる。

一方、「神の風」だとすると神のために働く、神の御使い的な意味か?いずれにせよメインストーリーに関わることを示唆している姓名のように思える。

余談:ラグナ(Ragna

古ノルド語由来の女性名としてラグナがある。これもregin(神)という意味。ラグナは崩壊3rdの姫子が戦乙女を目指すきっかけとなった教官の名前にもなっている。

ローレンス(Lawrence

中期英語および古フランス語の人名Lorens、またはラテン語のLaurenceが由来。

Laurenceはラテン語Laurentius=「Laurentumから来た人」という意。この古代ローマの都市の名前はローレル(laurel)つまり月桂樹にちなむ。

3世紀の聖人ローレンスの名前であることから人名として人気がある。

Saint Lawrence – Wikipedia

エーモンロカ(Imunlaukr

シャール・フィンドニールを救うために尽力した異邦人の名前。およびそこから成立したモンド貴族の家名。現時点でのモンドにはこの一族と思われるキャラクターは登場していない。

エーモンロカは古ノルド語の詩において「剣」を表す言葉。これは詩に使われるケニングという修辞用法でímun-laukrという二つの言葉を解釈した結果。

ímun-laukr = 戦+西洋ネギ=戦で使う細長いもの=剣


共通点・相違点

どの家名も人名が由来となっているが、それを除くとローレンス家だけ仲間外れにされている印象がある。

古ノルド語

ローレンス家のみ英語およびフランス語の人名を由来とするが、それ以外は古ノルド語から来ている。

古ノルド語は8世紀から14世紀にかけて北欧やイングランドなどで話されていた言語。北欧神話もこの古ノルド語で書かれた。ドラゴンスパインにかつて栄えたシャール・フィンドニール(Sal Vindagnyr)もこの古ノルド語から来ている可能性がある。フィンドニールのフィンドはVind=Vindr=風となり、ラグヴィンドのヴィンド(vindr)と同じ意味となる。

シャール・フィンドニールを作り上げた人々とモンド人は、実は同じ起源を持つ者同士なのかもしれない。

家名の元になった始祖の存在

ローレンス家以外、家名の元となった人物が既に何らかの形で登場している。


何故ローレンス家だけ他家と異なるのか?

仮説:ローレンス家の始祖は実際に古代ローマの都市からやってきた

ローレンス家の始祖ローレンスは、原神の主人公、崩壊3rdのシュレーディンガーと同じような異世界旅行者。異世界旅行者という特殊なキャラなので、始祖のことを書いたテキストは然るべきタイミングで出すつもりである。

稲妻の書籍「朱鷺町物語」には別世界で那須与一として活躍したという女性の話が載っている。大筋としては平家物語の扇の的のエピソードと同じ。ただし、妖怪が普通に存在するという部分が実際の歴史とは異なる。

このような世界の泡に行ったことのある人物がいるなら、逆に現実とはちょっと違う古代ローマの都市からテイワットにやってきた人物がいてもおかしくはない。というか崩壊3rdのビジュアルノベルには、アレクサンドリア大図書館が残っている古代都市アレクサンドリアが登場する。

ローレンス家の始祖はそういう古代都市ローレンタムからやってきたローレンスという人物である。

仮説:元々モンドの有力貴族は三貴族だけの予定だった

グンヒルド家、ラグウィンド家、エーモンロカ家の3つだけになる、と予め歴史が決定していた。

ところが旧モンドでデカラビアンが打倒された後、ディルックの祖先である赤髪の騎士が何かを察してモンドを離れた。エーモンロカ一族の始祖エーモンロカは天の存在を意識して彼らを呪うような言葉を残している。古代モンドに生きていた赤髪の騎士が、現在のラグウィンド家が知らない何かを知っていてもおかしくはない。あるいはエーモンロカ一族から教えられたか。

当初この騎士の名前がラグウィンド家の家名になるはずだった。空いた穴に滑り込んだのが、現在のモンドで最古となるローレンス家だった。三貴族の座に座ったローレンス家は新モンド建設に際して発言力を有し、広場の神像の台座部分に決意を表す碑文を刻んだ。が、天理的には天空島に関するメッセージを刻みたかった…。

モンド成立当初、ロレンス一族の主母ヴァニーラーレは人々を率い、
神の奇跡を称えるため、広場に巨大な神の石像を作らせた。

神像の下に刻まれている銘文は、昔各集落のリーダーがモンドを永遠に護ると誓った誓約の言葉である。

法器:旧貴族秘法録

新モンドではグンヒルド家、ローレンス家、エーモンロカ家の三本柱でスタートした。ローレンス家が入り込んでしまったのは仕方ない、とりま七神を集めましょと天理は七神を俗世の七執政に就任させる。

1000年後、新体制が上手く回ってきたなーというところで天理は歴史の修正を試みた。ローレンス家がモンドから追い出されるよう、なんやかんやちょっかいをかけて誘導。ウェンティが眠っている間にローレンス家は当初の志を忘れてモンドを牛耳るようになる。

しかし、なんでも天の思惑通りにはいかず、ローレンス家は自身と同じく祭礼武器を持つエーモンロカ家を追放してしまう。今のモンドにエーモンロカ家が存在しないのはこのためである。天理的にはまともな貴族が早く助けなさいよと待っていたが一向にモンドが救済される様子はない。

さらにはローレンス家の支配が600年にも及んでしまう。天理は眠っていたウェンティを叩き起こして、この事態を収集しようとした(あるいは英雄ヴァネッサがモンドで奴隷になるタイミングに合わせたか)。想定外の事態でいきなり起こされたためにウェンティもモンドがローレンス家に支配されていると知らなかった。

モンドがヴァネッサによって解放された後、エーモンロカ家と入れ代わりに赤髪の騎士の末裔であるラグウィンドが貴族となった。エーモンロカ家の血統はすでに絶えていた。天はモンド三貴族を当初の予定通りにすることを諦めるしかなかった。

西風騎士団の時代になり、神像は再建された。

だが、誓約の言葉は永遠に忘れられた。

法器:旧貴族秘法録

ただ、再建された神像の碑文だけは修正することができた。ちゃんちゃん。

仮説:ローレンス家がモンドを支配することは必然だった

前説の逆バーション。ローレンス家は最初から誓約を裏切ることを運命づけられていたパターン。