元ネタ「北人伝説」
名前の元ネタはアメリカの作家マイケル・クライトンのヴァイキング小説「北人伝説」(原題:Eaters of the Dead)に登場する13人の勇士。この作品を原作に「13ウォーリアーズ」として映画化された。
宮廷親衛隊のハールヴダンの元ネタも13人の勇士の一人「ヘルフデーン」。
この小説は北欧神話の叙事詩「ベーオウルフ」ととあるアラブ人の見聞録を元に書かれている。
北人伝説あらすじ
バグダッドの使節である主人公イブン・ファドランは旅の途中で、北人(ヴァイキング)の一行に出会った。
イブンは彼らから客としてもてなされたが、ひょんなことから次の族長候補の一人ブルウィフの遠征に付き合うはめになってしまう。北人の占い師は「遠征には月の数と同じ数だけ男がいなければならない。それから北人でない13人目も必要だ」と言う。そのためよそ者である主人公に白羽の矢が立ったのだった。
遠征先で待っていたのはウェンドル(黒い霧)と呼ばれる化物との戦い。ブルフィフは戦いで致命傷を負い亡くなってしまうものの、主人公イブンはなんとか無事に故郷へ帰ることができた。
ラスボス「ウェンドルの母」が多くの蛇を連れていること、彼女の住処が「雷鳴の洞窟」で層岩巨淵のような大きな洞窟であることなど名前以外にも共通点がある。
騎士達の二つ名
映画化に際して行われた特徴づけに由来する。
- スケルド「鏡の預言者」→the Superstitious(迷信深い者)
- エジェソ「サイレンスブレーカー」→the Silent
- ルテル「裂弓の死士」→the Archer
- ハルタフ「少年」→the Boy
※分かりやすいもののみ列挙。一部異なる騎士もいる。
13人の勇士対応表
原神 | 北人伝説 | 備考 | |
1 | ブルウィフ | ブルウィフ | 一行のリーダー。ベーオウルフに当たる。 |
2 | — | エクスゴー | ブリウィフの副官。 |
3 | ヒグラック | ヒグラク | |
4 | スケルド | スケルド | |
5 | — | ウィース | |
6 | ロネス | ロネス | |
7 | — | ハルガ | |
8 | ハールヴダン | ヘルフデーン | |
9 | エジェソ | エドグソー | |
10 | ルセル | リーセル | |
11 | ハルタフ | ハルタフ | 最年少。映画では少年。 |
12 | ヘルガー | ヘルゲール | |
13 | セルカーク | イブン | 小説の主人公 |
名前なしの取り巻きを含めると地下鉱区にいる騎士は12人。ここにハールヴダンを加えると13人。
セルカーク=主人公イブンとなる理由は後述。
セルカーク(主人公イブン)
場所:無名遺跡
英語版:Serkir
二つ名:剣の史録官
…天空の使者よ、我が手土産——復讐を受け取るがいい!
…絶望を越えし虚無の勝利は、絶望の上塗りに過ぎない…
戦闘時の台詞
何故セルカーク=主人公イブンなのか
Serklandとは「land of serkir」=「セルカーの土地」を意味し、サラセン人のことをも指した。中世ヨーロッパではイスラム教徒のことをサラセン人と呼んだ。
アラブ人の主人公イブンは、映画の中でラストまで「アラブ」と呼ばれる。よってセルカークとはアラブ人のイブンのことなのではないか。
また、セルカークの二つ名「剣の史録官」はイブンの功績に由来すると思われる。
主人公イブンは実在した11世紀の人物。
ヨーロッパへの使節団だった彼は旅で見たものを記録に残した。また、ブルフィフ(ベーオウルフ)は大剣ルンティングを獲物として使う。彼の英雄伝説を記録したという意味で「剣の史録官」なのだろう。
北人伝説は北欧の伝説「ベーオウルフ」をアラブ人のよそ者の視点で書き直した作品と言える。
以下、特に書くべきものがない騎士については台詞などのまとめのみ。
ブルウィフ(Buliwyf)
場所:嶮しき石堂の南、鐘のある遺跡
二つ名:荒廃を守る者
…軟弱な侵入者め…陛下の漆黒の呪い…逃げ場はないぞ…
…死が訪れし時…やがて目覚める…
戦闘時の台詞
元ネタの元ネタ
ベーオウルフの主人公ベーオウルフ(Beowulf)に当たる人物。
ヒグラック(Hyglacg)
場所:無名遺跡より東通路を北上した所
二つ名:諫言の奴僕
…天空より来たりし不吉なるものでも、我々によって利用される…
…砕け散る…砕け散るのだ…混沌とした仮象…我々の甦生を…止められはしない…
戦闘時の台詞
天空より来たりし不吉なるもの=天空の石=青淵宝珠?
元ネタの元ネタ
ベーオウルフでは北欧の国イェーアトの王ヒイェラーク。主人公ベーオウルフの叔父に当たる。
二つ名の「諫言」(目上の人への忠告)はおそらくベーオウルフで王であることから。
スケルド
場所:臨時本坑の鉄格子の中
英語版:Skeld
二つ名:鏡の預言者
これ以上進むな、異郷人…眠りし天空の石を驚かせてしまう…
…おまえは…ここに属さぬ者…
戦闘時の台詞
天空の石=青淵宝珠?
ロネス
場所:拠点西にある縦穴の底
英語版:Roneth
二つ名:島流しの騎士
…何者だ、我々の邪魔をするのは…神聖なる血によって…天空の穢れを浄化しようというのに…!
…天空の罰…判決の釘…忘れ…られぬ…
戦闘時の台詞
エジェソ
場所:地下湿原の中央にある島
英語版:Edgetho
二つ名:サイレンスブレーカー
…「運命」という名の暴君の友、その名は「厄災」の旅人…
…過ぎてしまったことは…記憶に残らぬ…
戦闘時の台詞
ここは2体(黒蛇騎士・斬風の剣、シャドウハスク・旗令)と戦闘。
元ネタの元ネタ
主人公ベーオウルフの父エッジセーオウ(Ecgtheow)。
二つ名について
映画で”The Silent”と言われることから。
ルテル
場所:蛍光隘路から西の通路
英語版:Rethel
二つ名:裂弓の死士
異郷人よ、なぜ長く滞在する…ここには死と不義の記念碑があるのみ…
…虚空からの虚空、すべては…虚空である…
戦闘時の台詞
二つ名について
小説で弓を使い、映画では”The archer”であることから。
ハルタフ
場所:遺跡サーペントの近く
英語版:Haltaf
二つ名:少年
…偽りの大地を渡りし者よ、真実を見届ける時だ…!
…真実の虚無、逆さの正義、不正の天空…
戦闘時の台詞
二つ名について
小説で最年少、映画で”The Boy”とされたことから。
ヘルガー
場所:蛍光隘路
英語版:Herger
二つ名:血涙の態臣
去れ、去れ…!終わらぬ闘争の影は、汝が背負えるものではない!
…末日の余響…平和…無き…
戦闘時の台詞